峠から何処へ向かっているか(峠の目的)


 a.そのまま山を下り、反対側の集落へ

 最もよく見かける一般的な峠です。集落と山向こうの集落とを結ぶ代表的な類型です。
 上図では「a峠」にあたります。B集落からa峠を通ってF集落へ。又はC,D集落からa峠を通ってF集落へ。日本の殆どの峠がこのタイプの峠です。

 b.山頂に向かっている

 この場合の山とは信仰の対象となる霊山の場合が多いようです。峠は単なる山に登るための取り付き点。後に反対側からも路が延びてきて、峠の形状をなすようになりました。山の中腹に峠が存在するのは、このパターンが多いようです。
 上図ではE集落から図の右下の山頂に向かっている路の途中の「b峠」にあたります。もともとE集落から山頂に行く路でしたが、D集落からも山頂に行く目的で路を造り、E集落からの路と合流し、その合流点のb地点が峠の形状となったため、b峠となりました。
  1. 大楢峠(東京都)5万図「五日市」;海沢から御岳山に向かう路。後に寸庭、坂下から路が延び、大楢峠が成立した。

 c.尾根路を縦走している

 現在では山間部の主要道路はだいたい川沿いを切り開いていますが、土木技術が今ほどなかった昔は、古人は尾根路を生活道路として活用していました。この場合、峠はその尾根路に取り付くための中継地点。後に反対側からも路が延びてきて、峠の形状をなすようになりました。前者と同様山の中腹に峠が存在するのはこのパターンが多いようです。
 上図ではA集落から図の左上の尾根路を通る路の途中の「c峠」にあたります。D,C,B,Aの各集落を川沿いに通ってきた路は、この先渓谷となり、路を造っても直ぐ崩壊するため、A集落から尾根に路を通すことにしました。後にG集落からも同様の目的で路が延びてきて、c地点で合流、c峠が成立しました。
  1. 時坂峠(東京都)5万図「五日市」;五日市から浅間尾根を縦走して奥多摩・大菩薩方面に抜ける古街道。古くは小沢からも路が延びていて、その交差地点が時坂峠だった。現在では交差地点は数百メートル西側に移動している。路が消え、峠名だけが残っている。

 d.峠に向かっている

 集落から山向こうの集落への本来の峠路が長い場合、他の麓の集落から路が延びてきて、その峠路に接続し、峠の形状をなすものがあります。
 上図では「d峠」にあたります。もともと「a峠」はF集落とC集落を結ぶ峠でした。後にD集落からもa峠に行く目的で路を造り、峠路との合流点、d峠が誕生しました。
  1. 金山峠(山梨県)5万図「上野原」;本来の峠は大地峠。現在では上野原町川合から秋山村大地に行くルートが一般的だったが、昔は川合から秋山村古福志に行くルートしかなかった。後に金山から路が延びてきて、峠路に接続、金山峠となった。


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