諸 坪 峠

静岡県西伊豆町−河津町
2002.2.2

西伊豆町側:許可車両以外通行禁止 ; 河津町側:立入禁止

  諸坪峠は過去何度も自転車雑誌などで紹介されており、その林道の豪快さ、峠自体の美しさなどから天城峠と並んで伊豆を代表する峠である。今回伊豆エリアを走るにあたり・是非訪れてみたい峠の一つであった。しかし実際に行こうと思い情報を集めてみると、どうやら峠に通じる林道は全て通行禁止になっているらしい。
  可能性を信じて林道を管理している役場等に電話で問い合わせてみる。峠の東側、荻ノ入林道を管理している河津町役場は「自転車通行・徒歩通行とも禁止」との回答。これは立入禁止ということか。峠の西側、白川林道と長九郎林道を管理している西伊豆町の営林署は「自転車は押して通行すればOK」とのこと。目的を写真撮影と答えたところ、本来なら申請書の提出と許可証の発行が必要だが、今回はそれを省略しても良いということになった。
  不躾な質問にも丁寧にご回答いただきました西伊豆町の営林署、及び河津町役場の方々、どうもありがとうございました。

周 辺 図 へ


 県道59号線との分岐点である「出合」付近に車をデポする。冬装備で身体を固め、軽いギアで白川沿いの狭い舗装路を上っていく。何もない殺風景な峠路を進んでいくと、忽然と白川の集落が現れる。集落の入り口付近には、外敵から村を守るための石仏が林立していた。
 白川の集落は以外に大きい。地図で想像していた閑散としたイメージとはほど遠く、とても暖かいイメージだ。ゲートボールのクラブを持ったお年寄りから呼び止められる。「何処まで行くのかね?天城かね、長九郎山かね。」「諸坪峠まで行きます。」「諸坪かぁ。路はいいから頑張っていきなね。」「はい、ありがとうございます。」こんな何気ないやりとりが嬉しい。それにこの集落の人達は、挨拶すると必ず大きな声で返事が返ってくる。気持ちいいね。
 いつしか民家も途切れ、小さな「栄橋」を渡ると「白川林道起点」の標識が現れる。暫くは谷沿いに明るく開けた舗装路を走る。勾配はほぼフラット。のんびりとペダルを回していく。
 「中国人慰霊碑」脇の「赤川橋」を渡るといよいよ舗装も途切れて地道となり、通行禁止のゲートが現れる。ゲートをまたいで突破し、先へ進む。
 どうでもいいことかもしれないが、「中国人慰霊碑」の直ぐ脇にある橋の名前が「赤川橋」。ちょっと不気味な想像をしてしまいました。
 ゲートを過ぎると周りの景色は一気に山の中となる。そして自転車のステムを片手で掴み、長いハイキングの始まりとなった。峠路は白川に沿って緩く蛇行しながら続いている。そそられるような気持ちのいい路だ。まぁいいさ、こうしなきゃ来れなかったんだし、また違うものも見えるかもしれない。あんなに丁寧に応対してくれた営林署の人との約束だしね。
 路は一度舗装になるが、その後また地道となる。通行車両が少ないせいか、路面はかなり荒れている。しかし勾配はたいしてきつくもないので押して歩くのも苦ではない。鳥や虫の声は聞こえないが、頬に当たる風は気持ちよく、木々のざわめきが耳に優しい。天気も良くなってきた。
 しかし長い。いい加減疲れてきた頃、目の前に長九郎山の姿が現れた。もう少しだ(多分)、頑張ろう!
 2時間弱の押し歩きでようやく峠に到着、同時に数年前に写真で見たそのままの切通しが目に飛び込んできた。感動してしまった。きっと両側の林道を通行禁止にしてしまったので、このままの姿で残ることができたのだろう。変わらぬその素晴らしい姿にコーヒーで乾杯した。
 峠の標識の前で記念写真。「諸」が「藷」になっている。この字からすると、この峠付近に昔は芋畑とかサトウキビ畑でもあったとも想像できる。そんなに昔の峠でもなさそうだから、音読みに拘らなくてもいいでしょう。

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