七 国 峠

−宅地開発の波に飲まれ、廃道に−

東京都町田市相原町−八王子市宇津貫町
1997.2.2

 七国峠は、多摩丘陵を越える七条の古道の一つとして「風土記稿」にも記されている古道です。この峠に立てば、武蔵、相模、伊豆、下野、安房、駿河、常陸 の国々が見渡せると言うことでこの名がつきました。
 多摩の歴史、自然を紹介する本には必ずと言っていいほどこの峠が登場し、美しい峠路の写真と共に紹介されており、私も行く機会を伺っておりました。
 しかしそこで見たものは、哀しい現実でした。

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 町田街道の相原十字路を北に曲がり、すぐの中華料理屋「七福亭」の手前を右に曲がる。すると小さな祠があるので、その横の山道にはいる。
 いきなり藪漕ぎとなるが、路を見失うことはない。
 小さな峠を越えると、いきなり舗装された車道に出会う。車道を横切り、舗装された路を北進する。
 峠の下、相原町最深部の集落だ。ここで峠のことを2人の人に聞いたが、全くわからなかった。
 集落を過ぎると、いきなり背の高い笹の中の藪漕ぎだ。自転車のあちこちに引っかかり、前進するのが大変だ。
 少し進むと笹の背も低くなり、歩きやすくなる。こんな状態なのに道筋がしっかりしているというのは、やはり大昔からの峠路の証だろうか。
 峠直下では道幅も広がり、歩きやすくなる。しかし「廃道」の感が強い。
 ひーひー言いながら峠につくと、湯殿山の石碑が出迎えてくれた。峠の両側に、稜線上に路が延びているが、どちらも全く整備されていない。期待した展望は全く利かなかった。
 山深い路を八王子側に降りていくと、いきなりかわいい立て看板があった。いやな予感がして近くまで行くと...。
 峠路はここでスッパリと無くなっていた。この先は八王子ニュータウンの造成工事中だった。あまりの変貌ぶりに、しばし立ちつくしてしまった。 本で書かれていた地蔵群や「名勝七国峠」の石碑もない。口絵写真の美しい峠路の風景を、永久に見ることが出来ないなんてとても寂しかった。この状態ではもう廃道は免れない。 このニュータウンに住むであろう人達の散策路としていつの日か復活することを願うだけだ。

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