大 越


 言わずと知れた六十里越街道のメイン峠である。この街道、峠についての変革、歴史的役割については、過去に多くが語られており、また、諸説色々あるのでいまさらここには書かないが、六十里越の名前の由来についてほんの少しだけ述べて置く。
 六十里とは距離からの名詞なので、起点と着点が必要になるが、この出発点と終着点については、人により、時代によって見解が分かれている。そのなかで吉田東伍は、六十里越えとは本堂寺より大網注連寺までの十里の路、すなわち一里を六丁とすれば六十里の道路であって、庄内より山形への最短コースである、と述べており、この説が六十里越の名前の説明としては一般的である。
 月山新道は車の交通量が激しく、トンネルも多いのでそれを避けるため、旧道との分岐点である月山沢のドライブインにて車をデポする。路はいきなり急勾配で山を巻いているが、全舗装なので走りやすい。早くもギアをインナーに落としてくるくる回す。2,3個目のカーブを過ぎるといきなり月山が正面にぐぐっとせり上がってみえるのだがこれがまた素晴らしい。
 勾配がきついのは最初だけで後はぐっと緩くなり、のんびりと走っていける。弓張平、志津と、高原の中を走っているようで山深い感じがまるでない。紅葉もちょうど見頃で、いい気分のままいつの間にか峠に着いた。
 峠は浅い切り通しになっていて、湯殿山の南西を緩やかに乗っ越している。境界線が路に大きく朝日町/西川町、と書かれてあった。ここからはあまり展望は効かないのだが、その分を見事な紅葉が埋め合わせてくれた。

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