二 井 宿 峠


 安久津八幡宮の駐車場に車をデポして走った。ここ高畠は、日本三大文殊の一つである亀岡文殊堂があり、そのほかにも歴史ある神社、数々の古代遺跡が存在し、一日かけてのんびり走ってもあきないところだ。
 国道をのんびり東に向かって走る。雰囲気のいい二井宿の街並みを通り、有無川に架かる橋を越えると、路は本格的に上り出す。有無川とはその名の通り、有って無きが如く相当暴れ川だったらしい。今では両側をしっかり固められ、おとなしくしている。
 見事な杉並木の中を通り、峠の茶屋の前に出る。ここだけは20年前の写真と変わっていなかった。そのすぐとなりに大滝不動尊があるのだが、あまりのけばけばしさに興醒めてしまう。しばらく走り続けると、左側に見事な一本杉が見えてくる。ここが県境で、「伊達の無理境」と言われているところだ。県境から300メートルほど宮城県側に入ったところに峠がある。峠は広い草原になっており、あまり峠らしくない。しかし思いっ切り‘夏’を感じられる気持ちのいいところである。ここから七ヶ宿街道を下ってこそこの峠の意味があるのだが、途中の追分から上山に向かった。
 ところで二井宿の集落のはずれに、「国道113号二井宿道路改築案内図」なる看板があった。これを見ると、新しく道路が作られ、現在の二井宿峠路は旧道になってしまうらしい。ちなみに現在の峠路は、明治14、5年に、あの三島通庸によって開削されたものである。

名前の由来: 新宿が二井宿になったのは寛政5年(1793)のことである。新宿はもちろん古宿に対する新しい宿で、改名の理由は定かではないが、たび重なる火災に、二つの井戸をもって当てたという説がきかれる。
(「山形県歴史の道調査報告書」県教育委員会より)


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