鍋 倉 峠


 鳥海山の東麓を抜けるダイナミックな林道の峠であった。升田の集落のはずれの奥山林道入口の手前の駐車場に車をデポ。黄緑一色に染まった田圃が整然と並んでおり、とてもきれいだった。
 林道は最初、杉の木立ちの中を走る気持ちのいい路だ。路は締まっていて、勾配も緩く、走りやすい。のんびり走っていると、大きな看板に出くわした。曰く「やまさ、よぐきたの 無理さねで迷わねよしてえてこえの」(訳:鳥海山によく来て下さいましたね。無理をしないで、(道に)迷わないようにしていってらっしゃい)人情溢れる庄内弁で書かれてある。一人ぼっちで山深い林道を走っていると、こんな看板一つがとても嬉しい。100人分の応援だ。
 小さな黒瀬の集落?を過ぎると、道は険しさを増してくる。橋を幾つも越え、山を幾度も巻き、着実に高度を稼ぐ。そのうち霧が立ち込めてきて、バラスもやけに多くなったな、と思っていたら峠に着いた。峠付近はアップダウンが連続するのでどこが峠なのかわかりづらいが、今までずっと「山形県」であった標柱が、「秋田県」になったところがそうである。峠は広場になっており、天気が良ければ鳥海山の雄姿が見えるはずなのだが、霧でまったく見えなかった。残念である。しかし「雄大」、「暖」の二文字がいつまでも心に残る、素晴らしい林道であった。

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