板 谷 峠


 奥羽本線の板谷駅に車をデポする。駅前は山間の集落の割には驚くほど賑やかで、かつて板谷街道の宿場として栄えた面影があった。
 大峠同様冬枯れの景色の中を上っていく。勾配はきついが、最近整備されたばかりの林道のようで、走りやすい。ハアハアと息をはずませながら、立ち漕ぎして峠に着く。板谷の駅からそう遠くない。峠は広場になっていて、ちょっと一息、というのにはいいのだが、周りの景観があまりにも寂しすぎるので、荒涼とした峠道を米沢へと下っていった。

当時の様子: 当時、米沢と福島を結ぶ峠は栗子と板谷の二つがあったが、明治以前はいずれも急傾斜で、通行困難のため、福島との物資の輸送はもっばら二井宿峠の道に頼っていたという。しかし、確かに板谷峠は難所なのだが、江戸への最短距離にあたるため、上杉氏の江戸往来や、伊勢参りによく利用され、江戸末期には日に4,50人の通行人があったという。 (『山形の峠』より)
 また、古河古松軒は東遊雑記のなかで、「此山道の嶮岨筆紙に尽くしがたし」と、板谷峠路のことを書き残している。「今は昔」である。


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