鳩 峰 峠


 国道399号線脇の神社の前に車をデポして走り出す。周りは一面の田圃である。もう稲刈りも終わって稲も高く、規則正しく積み上げられてあり、小さな古墳みたいだ。有無川に架かる橋を越えると路はいよいよ上り出す。しかし勾配は緩く、ほとんど舗装してあるため、ペダルも快調に回ってくれる。
 小さな九十九折を何回かクリアしながら高度を稼いでいると、思わずあっと息を飲んでしまう場所に出る。目の前に峠が見えるのだが、その下には蛇がとぐろを巻いているように、幾重にも路が折り重なっているのだ。いかにも無理やり付けたような感じがして、派手である。これ全部上るのか、とは思わず口からでた言葉である。
 峠から福島側は牧場になっている。牛がのんびりと草を食でいた。牧場を背にして山形側を振り返ると高畠の街が一望できる。この景色が素晴らしいのだ。優しい風に吹かれながら米沢盆地を見下ろす気分は最高である。また、峠の広場の片隅に「ひろすけ」の歌碑がある。

              むくどりの
              夢のかあさん
               白い鳥
              さめて見る
              かれ葉の上の
               白い雪

優しい感じがこの峠にはぴったりである。何度でも訪れたいところだ。
 福島側の下りは山形側に比べ、道幅は狭く、未舗装部分も多く残っている。しかし改良工事が進んでいて、いずれは舗装されてしまうだろう。
 数週間後、今度は車でこの峠を訪れたところ、福島側の路で二頭のカモシカと出会った。いきなり目の前の道を横切ってきたのでギョッとしたが、いつまでも自然が残っている素晴らしいところである。


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