福 舟 峠


 南沢の集落のはずれに路上デポして走り出す。よく整備されている林道であった。バラスも多くなく、勾配も適度で走りやすいことこのうえない。峠の中腹当たりで、道の両側一面にブワーッとふきのとうが顔を出しているところがあった。自分が「春」の真っ只中にいるような感じがして無性に嬉しくなる。まだまだと思っていたけれど、一歩一歩確実に春は来ていたのだ。
 古代遺跡のようにも見える福船鉱山を過ぎると路は勾配を増し、少々荒れてくる。立ち漕ぎして頑張ると、ほどなく峠に着いた。峠は緩やかに山の鞍部を越えており、その両側にはしっかりと雪が積もっていた。明るいイメージで、全身で春を感じられる峠であった。こんな峠路は大好きである。
 なお、峠名の由来だが、昭和29年に尾花沢に編入されるまで、峠の南側の南沢地区一帯は福原村と呼ばれていた。その福原村と船形町を結ぶ峠だったので、福船峠と呼ばれたのである。

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