新 蔵 峠


 長沢から大舟まで早春の山村の風情を楽しみながらのんびり走る。大舟から新蔵峠旧道の入口を探すが、なかなか見つからない。民家に尋ね、やっとわかる。なんと旧道の入口は、道全体が資材置場になっていた。これでは見つからないはずである。
 資材置場のテントの脇を、田圃に落ちないように自転車を担いでそろそろと通る。右に地蔵堂らしき祠を見送り、冬枯れの峠路を上って行く。峠路は普通の登山道を少し広くしたような感じだが、勾配は緩やかである。しかし時々顔を出す雪を乗り越えられず、途中から押しになる。
 途中、右側に石碑群がある。左側から全国的に珍しい草木供養塔、毎度お馴染みの湯殿山の石碑、県内では初めて見た金華山の石碑、そして玉庭の開拓時代に功があった朝日上人玄明海の供養碑、その反対側には沢山の庚申塚がある。
 この草木供養塔は県下には52基あるというが、そのうち50基は置賜地方に集中しているという。「草木塔は、山川草木全てが生命体であり、これらは霊魂を持っているためにそれらを供養しようというのが目的です。もう少し柔らかく言えば、山の生産物によって生活を維持する人々が、そのことのありがたさを感じて、感謝の心を表しているのではないでしょうか。」   (「続みちのく朝日連峰山だより」西澤信雄より)
 石碑群を過ぎると一層雪が深くなったので、一年振りにかんじきを履いて前進する。終始緩い勾配の路を押して進むと、程無く浅い切り通しの峠に着く。ここからは、上って来た大舟上側の景色は全く開けないが、玉庭側の景色がよい。下りは雪こそ無いものの、雪解け直後の為ドロドロのひどいダートであった。おまけに道路全体が木材の集積所になっており、通り抜けに一苦労してしまう。「廃道近し」こんな思いが頭の中をよぎった。

目次に戻る