櫓  峠

埼玉県児玉町−神泉村
2000.12.24

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 杉ノ峠から北側に下ると、程なく右に分岐する林道が現れる。ここが稲沢に向かう新道の入口であり、櫓峠への入口だ。「NHK無線中継所入口」と書かれた小さな看板を確認し、登っていく。
 小さな峠を一つクリアしたあと、上稲沢に下っていく。途中、「百番供養塔」が置かれた小さな十字路がある。ここが櫓峠の入口だ。左に折れ、薄暗い林道を登っていく。不気味なくらい静寂だ。自分の足下の落ち葉の音しか聞こえない。峠路の直ぐ脇を沢が流れているせいか路面はジメジメしている。鎌倉の朝夷奈切通しを思い出させる。
 林道終点の木橋を越えると道はいよいよ山道となる。この木橋、思いっきりしなってヒヤヒヤするが、なかなか趣がある。
 山道といってもこんな感じ。道幅も広く、なかなか歩きやすい。意外に思えるくらい勾配も緩いので、まるで里道を歩いているようだ。
 最後にちょっと担いで峠に到着。きれいに山を二つに分けたなかなかいい峠だ。この峠は児玉町の元田、稲沢から鬼石に抜ける最短路として開かれた。昔はきっと物資等の交流が盛んだったに違いない。しかし今では太駄経由で立派な県道が開通し、皆こちらを通るようになってしまった。この峠も、いずれ忘れ去られる運命なのかもしれない。
 峠では2体の石仏の出迎えを受けた。2体とも鞍部の南側に置かれ、北を向いて立っていた。今では山作業の人達がたまに来るだけの峠、昔はきっと旅人達で賑わったのだろうな。誰もいないのをいいことに、しばらく話し込んでしまった。
 多分ここが20世紀中に自転車で訪れる最後の峠になるだろう、と、地べたに腰を下ろし、ファイヤーガードでコーヒーを沸かした。そして峠の石仏達と乾杯!冷たい空気の中、コーヒーの熱さと苦みが頭の中を突き抜ける。今年もいろいろあったけど、来世紀も健康で峠をガンガン走れますように。
 峠からの展望はあまり効かない。しかし少し下ると鬼石の町の大展望が開ける。こういった瞬間はやはりいい。

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