十 文 字 峠

長野県川上村−埼玉県大滝村
1999.5.1

 退院後の初パスハンです。今の体力から考えると無謀では....、との声も一部にありましたが、天気にも恵まれ、素晴らしいパスハンでした。ただ、緊急避難路と考えていたエスケープルートでとんだ目に遭ってしまいました。

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 中央線2番電車を乗り継ぎ、8時46分、小海線信濃川上駅に到着。気持ちがいい。こんなに澄み切った空を見るのは久しぶりだ。
 駅で若いハイカーから、モウキ平手前まで一緒にタクシーで行かないかと声を掛けられる。現在の私の体力と時間を考え、ほいほいとタクシー輪行することにした。タクシー代も割り勘なら安いしね。
 モウキ平手前でタクシーを降り、自転車を組み立ていよいよスタート。暫くは林道を走る。勾配は殆どフラットなのだが、ギアをインナーに落としてゆっくりと進む。退院後初めてのパスハン、こんないい路だし、のんびりと楽しみたいからね。鳥の囀りが耳に優しい。
 モウキ平で甲武信岳に向かう路と分け、十文字峠に向かう山道に入る。林道ほどではないが道幅も比較的広く、歩きやすい。沢を何度も横切って高度を稼ぐ。山道に入ってから程なく水場がある。冷たくて格別にうまい!
 峠路も中盤にさしかかると路は沢を離れ、急勾配の九十九折りで山腹を駆け上っていく。これが「八丁坂」だ。語源は「胸突き八丁」から来ているのだろうか、病み上がりの身体には結構きつい。細かく小休止を入れながらよろよろ登る。肩に食い込む自転車の重みも気になってきた。
 八丁坂を登り切り、尾根路に取り付く。自転車を投げ出して大休止。ここから先はそんなに難しいところはない。なだらかな勾配で十文字山直下の小ピークまで登り、あとは峠まで下り基調の山道が続く。日差しが眩しい。
 峠に到着!92日ぶりに相棒と二人で登った峠。感慨もひとしおだ。一時は本気で「もう駄目か...」と思ったけど....。当たり前だけどやっぱり健康が一番大事だ。身体が動かなくなったらもうおしまいなんだよ。
 峠は十文字山と大山の間のなだらかな鞍部に位置する。信州側の展望は効かないが、秩父側の展望は見事だ。峠には小屋、トイレ、水場と揃っていて甲武信岳への登山基地となっている。六月の前半には、峠一帯の自然林に石楠花が咲き乱れるという。さすがに今日は...早すぎた。
 十文字小屋の前にあるテーブルで弁当を広げる。メニューは愛妻おにぎり4つ。そしてファイヤーガードでお茶を沸かす。そう、以前はコーヒーをいれていたが、今では玄米茶のティーバックだ。(^^) 
 最初は私一人だったが、次から次へと登山者が集まってきて小屋の前はちょっとした賑わいになった。お互い知らない者同士が話の花を咲かせる。山の交歓会だ。
 峠で40分ほど休んだ後秩父側に下る。秩父側の峠路は倒木が多く、あまり整備されていない様子だ。雪もまだ残っており、写真のように路全体がアイスバーンになっているところもある。要注意。
 十文字峠路は栃本から梓山までの間、一里毎に観音様がいる(里程観音)。写真は四里観音。昔から愛され、利用されてきた峠路である証だ。
 四里観音の分岐点を左に進み、避難小屋前の分岐点を左に行き、エスケープルートを通って奥秩父林道に向かう。写真はエスケープルート上から見た奥秩父林道。
 このエスケープルート、もともと道形が薄い上、途中で大規模な倒木が連続していて道は完全に消え失せている。私は疲れた身体にむち打って、40分間探索し、正規の道を見付けて事なきを得た。余程の自信と経験と体力がない限り、この道には踏み込まないで下さい。
 青息吐息で林道に取り付く。助かった、という気分だった。この後中津川林道を経由して、1時間半も未舗装の林道をかっ飛ばし、三峰口駅を目指した。中津川林道を走るのは15年ぶり。相変わらずの悪路が妙に嬉しかった。

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